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帰国生入試基礎知識

目次

帰国生中学入試の現状

一般入試の影響を受け、帰国生の受験者も年々増加傾向
(帰国生入試、優遇措置や配慮を設けている中学校は、現在首都圏にある全中学校の半数にものぼります。)

帰国生を受け入れた後もしっかりとした教育方針を持ち、帰国生の資質を伸ばそうと取り組んでいる学校もあります。
一方で…
少子化による生徒数の減少を穴埋めする目的で帰国生を受け入れ、入学後に何のフォローもない中学校があることも事実です。入試だけにとらわれず、中学入学後も見据えて学校を選ぶ必要があります

また近年の傾向としては、インターネットの普及により、以前に比べて中学入試に関する情報が海外でも格段に手に入りやすくなりました。

募集要項はもちろん、学校説明会などのイベント情報なども簡単に入手することができますし、学校側への問い合わせもメールでできるようになりました。国内生はもちろん帰国生にとって、インターネットは中学入試に必要不可欠だといえるでしょう。

帰国生中学入試のパターン

以下の3つの学校に分けられます。

一般入試と別の試験日程・内容 + 帰国生のための定員枠あり
一般入試と同じ試験日程・内容 + 帰国生のための定員枠、別基準で選考あり
一般入試のみ実施 + 帰国生への考慮なし

① 一般入試と別の試験日程・内容 + 帰国生のための定員枠あり

日本人学校生:2科入試
■ 科目
国語・算数・(作文)・面接
■ 対策
2科または2科と作文で受験でき、国語と算数は一般入試に比べて基本的な問題が多い傾向です。
試験日程は一般入試よりも早く、年内に実施する学校も増えています。一部の中学校では、作文と面接、あるいは面接のみというように学科試験を課さないところもあります。

現地校生・インターナショナルスクール生:外国語入試
■ 科目
国語・算数・外国語・(作文)・面接
■ 対策
求められる外国語力は学校によって様々で、英検準1~2級程度の英語力を求める中学校もあります。
受験の1~2年前に帰国して受験準備をする人も多くいるため、英語だけの対策ではなく一般生並みの国語・算数の学力を養う必要があるでしょう。

② 一般入試と同じ試験日程・内容 + 帰国生用の定員枠、別基準で選考あり

■ 科目
国語・算数・面接 または 国語・算数・理科・社会・面接
■ 対策
若干名の募集が多く点数配慮も学校によって様々なので、一般生とほぼ同レベルの学力を要求していると考え たほうがよく、①と比べて大幅に入りやすくなるということはないでしょう。

③ 一般入試のみ実施 + 帰国生への考慮なし

■ 科目
国語・算数 または 国語・算数・理科・社会
■ 対策
2科で受験できる学校もありますが、4科受験が一般入試の主流となっています。帰国生でもレベルの高い学校を狙うのであれば、少なくとも5年生から4科を学習しておいたほうがいいでしょう。

赴任地に日本の塾があったとしても、海外では首都圏のように大多数の生徒が中学受験塾に通って競い合う環境ではないため、相当な決意をして受験に臨む覚悟が必要です。特に理科や社会は日本にいないため、自然と触れ合ったり、都道府県に実際に行ったりして覚え学ぶということが難しい感があります。

入試問題に関しては、それぞれの学校で特色をもった出題をされることが多いため、受験に必要な基礎知識は国内の生徒と同様に小6の夏休みまでに習得し、受験校の過去問演習も含めて実戦的な練習をした上で受験に臨んでほしいと思います。

中学入試は知識偏重で処理能力の速さを問う問題での入試のように考えられがちであり、確かにそういった側面もありますが、自分で考えて記述する問題、実生活に即した側面からの出題をする学校が次第に増えています。入試問題はどのような生徒が欲しいか、という学校の意思の表れなので、受ける側もしっかり対策を練って臨むべきでしょう。

公立中学一貫校について

公立中高一貫校は一層の多様化を推進し、生徒一人一人の個性をより重視した教育の実現を目指すものとして1999年4月に設立されました。整備目標としては、高等学校の通学範囲に少なくとも1校を整備すること(=全国で500校程度)を目標とし、実施形態も3形態存在します。
入試スタイルとしては、国語・算数・理科・社会を組み合わせた教科横断型の出題形式をしいており、私立校に多く見受けられる選択問題はほぼ出題されず、知識よりも思考力や論述力が問われる内容となっています。

中高一貫教育の実施形態(文部科学省HPより)

  1. 中等教育学校
    一つの学校において一体的に中高一貫教育を行うもの
  2. 併設型の中学校・高等学校
    高等学校入学者選抜を行わずに、同一の設置者による中学校と高等学校を接続するもの
  3. 連携型の中学校・高等学校
    既存の市町村立中学校と都道府県立高等学校が、教育課程の編成や教員・生徒間交流等の面で連携を深める形で中高一貫教育を実施するもの

■対策
公立中高一貫校では、入学試験ではなく適性検査が実施されています。都道府県や学校によって内容は異なりますが、出題のねらいは「読む、考える、書く力を見る」という点で共通です。適性検査は、科目に分かれた試験ではなく総合的なものが問われます。「答えが一つではない」問題が多く、まさに「考える力」を持った人材を求めていることが問題からも読み取れます。

対策としては、4科の試験がないからといえども学科の勉強が不要というわけではなく、基本が4科の学習にあることはいうまでもありません。基礎的な学習をしっかりと身に付けた上で、応用力を鍛えていく必要があります。

・日頃から興味の幅を広く持ち、どんなことについても、疑問点を自分で調べていく習慣をつける
・数的パズルや地図やグラフ・図表などに親しむ
・少子高齢化や地球温暖化など身近な社会問題に対する意識を持つ
・家庭内で新聞やテレビのニュースについて話し合うことが効果的

また、多くの学校の受検で作文が課せられます。作文の形式としては、自分の考えや意見を300~600字程度で書かせるケースが多いです。子どもの学力には個人差がありますが、小学校の基礎的な学習ができており、普段から「読む、考える、書く」習慣が身についている生徒であれば、6年生からのスタートでも遅くはありません。

帰国生高校入試のパターン  

現地校・インターナショナルスクール出身者と日本人学校出身者とで、異なる試験問題や試験形式が選択できる等、帰国生の特性に配慮をした審査をしています。

現地校・インター校出身者
現地での成績・小論文(作文)・面接
日本人学校出身者
英語・数学・国語 (一般入試と同一問題)

帰国子女の受入れ枠を設けている学校 ならびに特別な受け入れ体制をもつ高校

① 国立大学の附属高校

■ 科目
英・数・国・理・社 または 英・数・国(一般入試と同一問題)

② 公立高校

帰国生の多い都道府県では帰国生の受入れ校として学校を指定して対応し、受験科目を軽減しています。県内すべての高校で帰国生を受け入れている都道府県もあります。募集学科や出願資格、選抜方法などは都道府県ごとに異なります。

■ 科目
英・数・国(一般入試と同一問題)・面接
*東京都のように別日に別問題の入試を行う場合もあります。

③ 私立高校

■ 科目
学校によって異なりますが、ほとんどが国・数・英(一般入試と同一問題)

慶應義塾湘南藤沢高等部のように一般入試は行わず、帰国子女枠と地域調整枠でのみ募集をする学校もあります。 ただし、2022年度入試からは、英語に関しては出願資格として語学資格が問われることに なり(TOEFL iBT70点以上 or IELTS5.5以上 or 実用英語技能検定試験準1級以上を取得して いる者/S-CBT・CBTを含む)、入試科目としては課題型小論文による国語と数学による実施となりました。他にも、青山学院高等部や中央大学杉並高校などのように一般入試とはまったく異なる適性試験を行う学校もあります。

特別な帰国子女募集枠を定めてはいないが受け入れを行っている私立高校で、若干名から30人近くまで枠を持つところと様々です。
■ 科目
英・数・国(一般入試と同一問題)が一般的です。
(帰国生にのみ面接や作文を課す高校もあります。)

出願資格について

インターネットが普及し、ほとんどの学校のホームページから海外から容易に閲覧できるようになりました。しかし、近年は入試変更(定員や試験日等)が毎年のように行われるため、最新情報をチェックする必要があります。こまめにサイトを確認し、可能な限り学校説明会に参加するといいでしょう。最近は海外の日本人学校や塾などで説明会を行う学校が増えています。

  • 海外での年数・・・2年以上が一般的
  • 帰国後の年数・・・1年以内が一般的

これらは学校によって異なりますが、近年の傾向として出願資格は総じて緩やかになりつつあります。志願校の出願規程に関して、微妙な年限である場合は必ずその学校の帰国生受入れ担当の方に連絡をして確認することが必要です。また期準日の設定もまちまちですので、合わせて確認しましょう。

受験資格の認定

学校側が志願者の願書を受け付ける前に、書類や面接によって志願者の資格審査を必要とする場合があります。

  • 国際基督教大学高校
  • 早稲田大学高等学院
  • 早稲田大学高等学院本庄
  • 桐朋女子高校 などはその一例です。

また、公立高校でも必要な場合があります。
公立の高校の受験資格

「中学もしくはこれに準ずる学校を卒業した者または卒業見込みの者」あるいは「外国において、学校教育における9年の課程を修了した者」

が基本です。海外在住2年以上かつ帰国後2年以内の学校が多いですが、受験資格の認定に関しては都道府県ごとに異なります。願書の入手方法も、海外への郵送可というところもあれば、千葉のように指定された説明会への参加が義務付けられているところもあり、都道府県ごとに早めの確認が必要です。

推薦入試について

最近は私立・公立を問わずほとんどの学校が一般の入試に先行して推薦入試を実施しています。

推薦入試では一般的な学科試験は行われず、内申書(調査書)、面接、作文・小論文などで審査されます。出願資格の一つである内申点(通知表の評定)基準は、9教科の評定の合計が「36以上」「40以上」など、受験する高校によって基準が異なりますが、各教科4以上の評定を求められることが多いです。いずれにしても、推薦入試においては、評価に値するほどの成績あるいは部活動経験、課外活動経験などが必要です。

私立高校における推薦入試

難関私大附属高の一つである早稲田高等学院を例にとると、自己推薦入試の枠で200名もの人数を募集します。この人数だけでも学校側が推薦入試に力を入れていることがわかりますし、かなり記述量の多い志願書や1人あたり30分にわたる面接など、学科試験以上に学校側が力を入れて、優秀な生徒にぜひ来てもらいたいという思いが強く伝わってくるものです。今年度から慶應義塾女子高校も推薦入試を取り入れ、意欲的な生徒を取りたい意向を表明しています。

公立高校における推薦入試

公立の進学上位校では推薦入試の倍率は一般入試よりはるかに高く、中学校の内申点の高い優秀な生徒が集まってくる傾向にあります。公立高校の推薦入試は「定員枠」があるため志願倍率が高くなってしまうのです。

各都道府県のトップ校においては、評点が満点でも合格が保証されないという厳しい現状もあります。それでも推薦入試と一般入試の両方を利用すれば、公立高校を2回受験することも可能になりますし、学科試験の結果が合否を大きく左右する一般入試と異なり、面接や作文、特技などでアピールすることができるのも推薦入試のメリットです。

専願と併願

基本的には、推薦入試を受験する場合はその高校が第一志望の生徒に限られますが、桐蔭学園高校などが実施している併願推薦は、推薦で合格しても他の高校との併願が可能です。

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