帰国生高校入試の古文問題の傾向は? 傾向と対策を学校別に解説
帰国生入試でも古文が出題されることがあります。
古文問題も学校によって傾向があります。
しかし、
「学校の傾向やどんな対策をしたらいいのかわからない…」
という方も多いはずです。
中学生になって初めて触れた古文に苦手意識を持つ方もいるかもしれません。
この記事では学校別の出題傾向、そして対策について解説をします。
帰国生入試の古文について知りたい方は、ぜひ一度お読みください!
早慶附属校:文法・単語・和歌の知識
それでは早慶附属校から見ていきましょう。
次の表は2021年度の古文出題傾向と内容等をまとめたものです。
「○」は古文として大問を設けて出題している学校。
「△」は現代文と古文が混ざった「現古融合文」問題になります。
「✕」の早稲田本庄、慶應義塾湘南藤沢は古文の出題はありませんでした。
大問を設けているのは早稲田実業、早稲田大学高等学院、早稲田大学渋谷シンガポール、慶應志木の4校です。
問題数は5、6問となっています。
注目したいのは「現古融合文」として出題している慶應女子、慶應義塾です。
現古融合文とは、古文について現代文で述べた文章(鑑賞文)です。
慶應義塾は大正時代の「漢文訓読体(和漢混交文)」(漢文を日本語に書き下した形)の文章がそのまま大問として扱われており、見慣れない人がみるともはや古典的文章と思うでしょう。
直接的な古文問題の出題がないとはいえ、古文知識が必要となる場合もあるので、しっかりとした学習が求められます。
続いて「内容問題」についてです。
現代語訳の問題と同様、傍線部の解釈とそれまでの内容を正確に把握し、その根拠となる箇所を本文から探し出す必要があります。
そのためには順接の確定条件の接続助詞「ば」(原因・理由を表す言葉)などの文法的知識や単語の知識が必要となります。
高校受験の古文単語は英単語ほど膨大な量を覚える必要はありません。高校の古文単語集を購入しその基礎的な単語を覚えておくと十分対応できます。
おすすめは各品詞の単語が重要度別にランク分けされているものです。
それの一番重要度の高いもの(基本的な単語)を覚えておけば十分でしょう。
次に「和歌」についてです。
和歌に関する問題は大きく「内容」と「修辞法(表現技法)」に分けられます。
歌物語形式となっている文では、登場する和歌はそこまでの内容が反映されたものですので、上記の「内容問題」とほぼ同じだと考えてよいでしょう。
「修辞法」に関しては、「掛詞」「序詞」をはじめとした表現技法の知識です。
これは知らないとどうにもならないので、しっかりと知識として理解し、演習問題で出題のパターンに慣れておきましょう。
最後に「出典」についてです。
2021年度はどの高校も平安・鎌倉期の「説話集」からの出題でした。
しかも、超メジャーなものばかりです。
年度によっては中世後期御伽草子や近世の作品が出題されたこともありますが、概ねメジャーな作品からの出題が目立ちます。
ですので、「今昔」「宇治拾遺」「古今著聞集」あたりの三大随筆からの問題をとにかくやりまくっていれば、場合によっては知っている話が出題される可能性もあります。
古文は文法・単語・和歌の知識を付けて、ひたすら問題を解く(現代語訳で内容も覚えておく)ことが重要だと思います。
MARCH附属校
続いてMARCH附属校について見ていきます。
次の表は2020年度の古文出題状況と内容等をまとめたものです。
「○」の古文として大問を設けてしている高校は青山学院と中大杉並のみとなっています。
早慶附属や都立高校のような現古融合文の出題も見られません。
それでは青山学院と中大杉並を見ていきましょう。
青山学院:しっかりとした古文の問題
出題数は毎年10問です。
出典は『宇治拾遺物語』といった鎌倉期の説話から、『平治物語』といった軍記物、『西山物語』といった江戸期の読本と多岐に渡っています。
出題内容についてです。
多くは本文内容に関するものです。
前後の記述で答えを出せる比較的簡単なものもあれば、全体把握、登場人物の心情把握や行動理由といった、ある程度しっかりとした読解が求められるものもあります。
また、2018年、2020年では空欄補充問題も出題されており、それらに対応するには内容把握は勿論のこと、古語の接続詞の知識も必要となります。
次に多いのは訳に関する問題です。
ここでは基本的な古語単語の知識や、「いかで」や「な~そ」といった副詞の知識も必要となります。
全体的には“しっかりとした古文の問題”という印象で、早慶附属校と比較しても全く遜色なく、むしろ年度によっては難易度が高いかもしれません。
対策としては、ただ問題を解いて古文の文章に慣れるといったものではなく、高1レベルの基本的な古語単語や副詞・接続詞・頻出する助動詞といった文法知識も身につけておく必要があるでしょう。
中大杉並:基本的な読解
出題数は5問前後です。
全体的に基本的な読解を求める内容となっています。
顕著な傾向としては会話部分の特定問題が出題されます。
あらかじめ会話部の終わりが示されており、その最初の箇所を特定するといった問題です。
あまり長い会話文ではないため、それほど難易度が高いものではありません。
ですが、会話文が1文ということはないので、どこから会話がはじまるかを丁寧に探る必要があります。
また、指示語の特定や主語以外の人物特定問題(同一人物特定)といった問題もあり、それらの問題も上記の会話文問題同様、丁寧に読むことが求められます。
対策としては、普段の読解演習から人物の言動には注意を払うことが重要でしょう。
特に、動詞の命令形や意思・推量などを表す助動詞「む」といった会話部でよく使われる語の知識をつけたり、地の文の人物の動作に関わる描写を読み解く練習をしたりすることが重要でしょう。
大阪教育大西池田:現古融合文、漢文の対策も
続いて関西有名私立4校を取り上げます。
まずは大阪教育大池田です。
問題数としては少なく、すべて現代文の問題の中に組み込まれています。
いわゆる「現古融合文」にあたりますが、古典をモチーフとした評論文としての出題ではなく、内容としてはしっかりとした古文的な問題となっています。
例えば、2021年度では、本文中に古文の引用文があり、そこから現代仮名遣い、主語確定の問題が出されています。
さらに、2020年度では現代文の本文内容を選択肢の古文の引用文から選択させるという変則的な出題も見られます。
また、上記表には示していませんが、2022年度はちゃんとした古文の問題と漢文(漢詩)の問題が出題されているので、漢文も含めしっかりとした対策が必要です。
西大和学園:難易度が高め
次に西大和学園です。
問題数は他校と比べても多めです。
内容もかなり難易度が高いです。レベル的には高校1年程度と言えそうです。
内容を問う問題では、しっかりと本文内容を理解していないと解けないものとなっています。
ひとつ大きな特徴を挙げておくとすれば、主語確定や現代語訳の問題でも「敬語」が絡んでいるということです。
通常、高校受験レベルの古文では文法知識として「敬語」までは踏み込まない場合が多いでしょう。
しかし西大和対策としては、敬語の種類だけでなく、敬意の方向あたりまでの知識を持っておいた方が良さそうです。
また、記述問題も必ず出題されており、2021年度では「姫君の御事はゆめゆめうしろめやくな思ひきこえたまひそ」を現代語訳せよという問題が出題されています。
これを見ると、単語の知識以外にも、「ゆめゆめ~打消し」「な~そ」といった副詞の知識、「きこえたまひ」という敬語の知識が必要となっています。
中学生としてはかなり高いレベルの知識が求められていると言えそうです。
同志社国際:基本的知識が必要
続いて同志社国際です。
問題数は6問ほどです。
同志社国際では、基本的な古文知識が問われています。短文で注も付いているので内容理解はしやすいと思われます。
また内容も、人のように立って歩きたいという蛙が観音にお願いして成就するが、目が後ろになってしまいまともに歩けなくなるという話や、陰口をたたかれていることを知った紫式部が自身の日記で反論するといったものなど、理解しやすい内容となっています。
深い古文知識がなくても読解は可能でしょう。
ただ、文学史の問題は毎年出題されていますので、平安から江戸まで主要な作者、作品は記憶しておく必要があります。
立命館宇治:知識主体
最後に立命館宇治を見ましょう。
問題数は8問ほどです。
2020年は内容理解が中心でしたが、2021年は知識主体に変わっています。
特に「敬語」の知識を求める問題が出されているが特徴と言えます。
中でも「奏す」という絶対敬語に関する出題があり、「奏す」が天皇と上皇にしか使用しないということを知らないと解答するのに無駄に時間がかかることも考えられます。
ちなみに皇后や中宮、皇太子にしか使用しない「啓す」という敬語がありますので、セットで記憶しておきましょう。
最近の高校入試では敬語は頻出されますし文章理解にも必須ですので、知識として必ず持っておきましょう。
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学校別の傾向を知ることができましたか?
傾向を知ることで、それに合わせた対策を取ることができます。
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