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古文問題で主語を特定する方法は? 帰国生高校入試の古文を解説

高校入試や模擬試験で最も出題頻度が高いのは「主語特定問題」です。

しかし古文では主語が省略されることも多いので、

「正しく主語を追うのが苦手……」

という方もいらっしゃるはずです。

主語は「助詞」や「敬語」を理解することで、把握が可能です。

この記事では主語の特定方法を解説します。

古文で主語を見つけるコツを知りたいという方、ぜひ一度お読みください!

目次

主語は助詞と敬語で特定

古文は現代文と違い主語が明示されないことも多く、古文に慣れていない人は正しく主語を追うのが難しいという人も多いでしょう。

主語を特定するときのコツは「助詞」と「敬語」に注目することです。

早速見ていきましょう。

「を」「に」「ば」「ど」「が」「ども」で主語が変化

最初に助詞で主語を特定する方法をお伝えします。

まずは以下の古文の本文を見てください。

その際、傍線部①~⑧の主語が誰かも考えながら読んでみてください。

ちなみに主語は「粟田殿」「福足殿」「中関白殿」「周りの人々」および「筆者」のいずれかになります。

この粟田殿の御男君達ぞ三人おはせしが、太郎君は福足君と申しし【を】、幼き人はさのみこそはと①思へ【ど】、いとあさましう、まさなう、②悪しくぞおはせし。

東三条殿の御賀に、この君、舞をせさせたてまつらむとて、③習はせ給ふほど【も】、④あやにくがりすまひ給へ【ど】、よろづにをこつり、祈りをさへして、⑤教へ聞こえさする【に】、その日になりて、⑥いみじうしたてたてまつり給へる【に】、舞台の上にのぼり給ひて、ものの音調子吹き出づるほどに、「わざはひかな。あれは舞はじ」とて、鬢頰引き乱り、御装束はらはらと⑦引き破り給ふ【に】粟田殿、御色真青にならせ給ひて、あれかにもあらぬ御気色なり。

ありとある人、「さ思ひつることよ」と見給へど、すべきやうもなき、御舅の中関白殿のおりて、舞台にのぼらせ給へ【ば】、「いひをこつらせ給ふべきか、また憎さにえ耐へず、追ひおろさせ給ふべきか」と、かたがた見侍りし【に】、この君を御腰のほどに引きつけさせ給ひて、御手づからいみじう⑧舞はせ給ひたりしこそ、楽もまさりおもしろく、かの君の御恥もかくれ、その日の興もことのほかにまさりたりけれ。祖父殿もうれしと思したりけり。

以上は『大鏡』からの引用ですが、太字は登場人物、【 】は助詞です。

みなさんは傍線部①~⑧の主語がわかりましたか?

それでは、次に【 】の助詞を以下の現代語訳にも同じ箇所に示してみます(その際、例えば「ど」は逆説なので現代語では「が」になっています)。
また、明示されていない主語も(太字)で示します。

この粟田殿のご子息たちは三人いらっしゃったが、ご長男は福足君と申し上げた【が】、(筆者は)幼い人はみんなそのようなものだと①思う【が】、(福足君は)たいそうひどく、みっともなく、②始末が悪くていらっしゃった。

(祖父である)東三条殿の(六十の)祝賀で、この君に、舞をおさせ申し上げようということで、(粟田殿は福足君に舞を)③習わせなさる時に【も】、(福足君は)④だだをこねて抵抗なさる【が】、(周りが)いろいろと機嫌をとり、祈禱までもして、⑤お教え申し上げるうち【に】、その日になって、(粟田殿は福足君に)⑥たいそうすばらしく装束をお着せ申し上げなさった( 【ところ】、(福足君は)舞台の上に上りなさって、楽器の音調子を吹き出すころに、「ああいやだ。ぼくは舞わないぞ」と言って、結った髪を引き乱し、御装束をびりびりと⑦引き破りなさった【ところ】、(父の)粟田殿は、お顔色が真っ青になられて、茫然としたご様子である。

(その場にいた)すべての人は、「そう思っていたことよ」とご覧になるが、すべき方法もないところ、御おじの中関白殿が(御殿の席を)下り、舞台にお上りになった【ので】、「なだめて機嫌をおとりになるのだろうか、また憎らしさに耐えられず、(福足君を舞台から)下ろしなさるだろうか」と(周囲の)人々が見ていました【ところ】、(中関白殿は)この君を(ご自分の)御腰の辺りに引きつけなさって、ご自分自身で(一緒に)⑧すばらしく舞いなさったことで、楽もさらにおもしろく、あの君の御恥も隠れて、その日の興も格別に増したそうだ。

いかがでしょうか?

①~⑧の正解は

 ①筆者 ②福足君 ③粟田殿 ④福足君 ⑤周りの人々 ⑥粟田殿 ⑦福足君 ⑧中関白殿

となります。

その特定の際、ひとつの大きな目安として【 】で囲った接続助詞「を」「に」「ば」「ど」がつくことで主語が変わっているのがわかるかと思います。

例えば傍線①で「思った」のは「筆者」ですが、「」がつくことによって、それ以降主語が「福足君」に変わるといった具合です。

試験では主に主語が明示されていない①~⑧のような部分で「主語は誰か」と問われる傾向にあります。
主語変化が起こる助詞は「を」「に」「ば」「ど」以外にも「が」「ども」などでも起こりやすいので、普段から古文を読む際にはこれらの助詞に注意して読むことをおすすめします(100%ではありませんので、必ず文脈判断は必要です)。

尊敬語は偉い人の行動につく

続いて「敬語」に注目します。

現代語の敬語の使い方もイマイチ……と言う方は、古語の敬語を学習する中で現代語の敬語についても学び直しましょう。

古文の敬語は近世以前が厳格な身分社会であったこともあり、非常に複雑です。
ここでは「知って得する敬語法」だけを学びましょう。

それは、「尊敬語は偉い人の行動につく」ということです。

当たり前なことだと思われるかもしれませんが、これは「主語特定問題」にとても役立ちます。

以下の古文の本文を見てください。

上に候ふ御猫は、かうぶりにて、命婦のおとどとて、いみじうをかしければ、かしづか➀せ給ふが、端に出でて臥したるに、乳母の馬命婦、「あなまさなや。②入り給へ」と③呼ぶに、日のさし入りたるに、ねぶりてゐたるを、おどすとて、「翁丸、いづら。命婦のおとど食へ」と④言ふに、まことかとて、痴れ者は⑤走りかかりたれば、おびえまどひて、御簾の内に⑥入りぬ

朝餉の御間に、上⑦おはしますに、御覧じて、⑧いみじうおどろかせ給ふ。猫を御懐に⑨入れさせ給ひて、

これは清少納言の『枕草子』の一節です。
帝がかわいがっていた猫を、同じく宮中で飼われていた翁丸という犬が、猫の飼育係の女房にけしかけられて噛みつこうとたところ、折しも朝食を食べていた帝がそれを見て激怒するというシーンです(その後その女房はお役御免となり、翁丸は追放されてしまいます)。

ここでの登場人物は、上((1行目にあるようにこの猫は従五位下(かうぶり)という官位までもらい命婦のおとどなんていう呼び名まであります)、馬命婦(猫の飼育係)、翁丸(犬)です。

さて、みなさんは本文の➀~⑨の主語がどの登場人物かわかりますか?

正解は

 ➀⑦⑧⑨帝 ③④が馬命婦 ②⑥猫 ⑤翁丸

となります。

実は、敬語を知っていると主語が帝である箇所は一瞬でわかります。
なぜなら➀⑦⑧⑨には「せ給ふ」「おはします」という尊敬語(最高敬語)が使われているからです。

他の箇所は「呼ぶ」や「言ふ」など普通の言い方になっていますね。

ちなみに②の「入り給へ」は猫が主語なのに「給へ」という尊敬語(補助動詞)がついています。
これはこの猫が帝の寵愛をうけていて、官位もあるためだと思われます(おそらくこの猫は日本の歴史上唯一官位の与えられた猫だと思います)。

このように敬語を覚えていると人物特定に非常に役に立つのです。

ただ、敬語と言っても結構な数があります。
まずは「給ふ(お与えになる・~なさる)」「おはす(いらっしゃる)」「のたまふ(おっしゃる)」「思す(お思いになる)」「大殿ごもる(お休みになる)」「聞こす(お聞きになる)」などの基本的な尊敬語を覚え、徐々に謙譲語などを覚えていけばいいかと思います。

そして、主語の問題が出れば傍線部に敬語がついているかをチェックし、ついていれば選択肢の中でどれが敬語がつくような人物かを考えればいいのです。

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